斉藤氏も松本裕の成長を温かく見守っている
新たな『66』の幕開けを、本拠地のファンに示した。6月29日の
日本ハム戦。ヤフオクドーム3度目の先発で本拠地初勝利を挙げた
松本裕樹が、初めてのお立ち台で3万人を超す観客から大歓声を浴びた。「テレビで見ていた光景。新鮮だった」。2度の沢村賞に輝いた伝説のエース・
斉藤和巳氏から背番号66を引き継ぎ、2015年ドラフト1位で入団。球団、そしてタカ党から大きな期待を背負う右腕が“スタートライン”に立った瞬間だった。
ソフトバンクにとってエースナンバーとも言える偉大な番号を背負った。松本裕が生まれた1996年に入団し、そこから18年間『66』を背負った斉藤氏は、2003年に20勝3敗で1度目の沢村賞を受賞。18勝を挙げた06年には防御率1.75を記録し、再び沢村賞を手にした。度重なる故障もあり13年で現役を引退。その翌年にドラフト1位指名で『66』を提示された松本裕は「エースになれ、という期待に応えたい」と強い覚悟を持ち、プロ入りした。
入団以来、球団は長期的な視野で松本裕を育成してきたが、今季は先発陣に故障者が相次いだ影響もありチャンスをつかんだ。6月3日の
DeNA戦(横浜)では6回途中3失点でプロ初勝利。この試合を偶然、解説席から見守った斉藤氏は「高卒3年目なら順調。6回を投げ切れなかったことで勝つ難しさも感じているはず。次のモチベーションに頑張ってほしい」と、エース後継者に大きな期待をかけた。
写真=湯浅芳昭