試合を重ねるにつれて真価を発揮しているゲレーロ
漂うアーチの予感。
中日の
アレックス・ゲレーロが打席に入ると、一気に期待は高まる。8月13日時点で30本塁打に到達し、2位の
広島・
鈴木誠也、
ヤクルト・
バレンティンに5本塁打差。両リーグ含めても、キングを独走する。「2本しか打てなかった4月からすると、考えられないね」。その量産ぶりに、冗舌になるのも無理はない。
自身の言葉どおり、開幕当初は散々だった。内角を突いてくる相手に手玉に取られ、4月までは打率.217。打順を下位に下げたこともあった。だが、打席を重ねるたびに順応する姿は、元メジャー・リーガーたるゆえん。配球を読みながら、初球打ちをしたり、内角を狙い打ちしたり。5月10発、6月9発、7月7発と殻をぶち破った。
存在感とともに増したのは、相手の警戒心。より厳しいコースを攻められ、死球の数も圧倒的に多くなった。7月26日のヤクルト戦(神宮)では、右手に当てられて途中交代。その後3試合を欠場し、チームも7連敗を喫した。「ベンチで何もできないのがもどかしい」。主砲としての自負は、すぐに痛みを上回った。
復帰した同30日の
阪神戦(ナゴヤドーム)で、すぐさま28号2ラン。快勝に導き、黒星の連鎖を止めた。正真正銘の助っ人がシーズン40発超のペースで描く放物線は、苦しむ竜を刺激するカンフル剤。
「ホームランは自然に出てくるものだよ」。気負いのない発言とは裏腹に、タイトルに向けて一直線に突き進んでいる。
写真=BBM