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DeNA・倉本寿彦 九番固定が復調のきっかけに

 

自らのバットで試合を決めた8月16日の中日戦、倉本はお立ち台でスポットライトを浴びた


 本塁に視線を送り、全員が嶺井博希の生還を確認した。あっという間に一塁ベンチが空っぽになった。ナインの標的は倉本寿彦だ。「僕もつなごうと思ったのが、最高の結果になりました」と声を弾ませたのは8月16日の中日戦(横浜)、2対2で迎えた9回一死一塁の場面。

 1ストライクから大ベテラン・岩瀬の高め直球を振り切った。中越えの二塁打で接戦は決着。昨年に続く自身2度目のサヨナラ打は、いずれも中日戦。「嶺井もよく走ってくれました」と同僚への気遣いを忘れなかった男を、ラミレス監督は「今年1年の中でも、ベストゲームの一つになる」と大絶賛した。地元・神奈川出身で、横浜高では筒香嘉智の1年先輩。完全復調を印象づけるには十分な一打だった。

 プロ3年目。昨年は141試合で打率.294と飛躍し、正遊撃手の座を確保した。あこがれの石井琢朗と同じ背番号5。前途は明るかった。

 しかし、今季は4月終了時点で打率.195。レギュラー陥落を覚悟しながら、ラミレス監督の信頼を感じた。転機となったのが5月4日の巨人戦(東京ドーム)では、八番は投手が入り、倉本は九番に固定された。先頭打者、さらに上位打線へつなぐ役割に期待した配置転換。これが機能し、5月以降は.264→.273→.293→.333と月別打率をグングンと上げた。「ラミレス監督には感謝しているし、少しでも恩返しをしたいです」。大事な8、9月。有言実行の九番が躍進を支える。

写真=大賀章好
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