8月30日の広島戦では中継ぎながら今季初勝利を挙げた田原誠次
毎試合のように、試合終盤のブルペンにその姿がある。変則右サイドハンドのタフネスがようやく帰ってきた。ケガなどで出遅れていた
巨人・田原誠次が、戦列に戻ってきたのだ。
2015年の終盤に台頭した中継ぎ右腕。昨季は64試合で4勝3敗14ホールド、防御率3.46とフル回転した。143試合中、実に128試合でブルペンで肩を作るなど、
高橋由伸監督体制1年目はあらゆる場面で起用された。
今季も中継ぎの軸として期待されたが、オープン戦で結果を残せず開幕直前に二軍降格。原因は3月中旬に発症した左ヒザ痛だった。「復帰まで時間がかかったから、もうちょっと早めに(無理だと)言えればよかった。痛みが出る前に対策ができていれば……」と悔やんだが、無念の離脱となった。
開幕一軍を逃したが、リハビリ生活では自身の立場を見つめ直した。「左はいい投手がたくさんいる。右打者に嫌だなと思われるような投手になろうと思った」。右サイドスローを生かして投球に角度をつけ、打者がタイミングを取りづらい投球フォームを研究した。5月に昇格。このときはまだ100パーセントの球威は戻っておらず、打球直撃の影響もあり、6月には二軍落ち。だが、8月に再昇格すると、以前の輝きが戻った。8月末日までに今季は19試合に投げ、失点は7。防御率は3.38ながら、8月は8試合に投げて失点は2、30日の広島戦(東京ドーム)では勝利投手となるなど好調だ。
「今は体の状態もいいし、体と心が一致している。投げろと言われたところで、結果を出したい」。前半の出遅れを取り返すため、勝負の秋にフル回転する。
写真=BBM