自己最多本塁打を更新し、さらに本数を重ねる福田
バットを高らかに放り投げる姿が何とも美しい。
福田永将の打棒が覚醒のときを迎えている。
11年目。昨季放った自己最多の10本塁打を更新するなど、広いナゴヤドームをものともしない打撃でレギュラーとしての地位を確固たるものにしつつある。
「良いからこそ調子に乗らず、1打席ずつです」
これまでつかみかけては手放してきた定位置の座。持ち前の打撃に安定感が増し、チームで最も期待できるバッターに成長した。
きっかけになった一振りがある。7月30日の
阪神戦(ナゴヤドーム)で放ったアーチだ。広い本拠地の右中間に低めの難しいボールを運んだ。
「ナゴヤドームであそこに入るなら、どの球場、どの方向でも入るということ。飛ばそうとしなくて良いんですよ。これからどんどん増えますよ」
西武・
中村剛也ら数々のスラッガーを育ててきた
土井正博打撃コーチをうならせた一振りだ。
打った本人も「あんなに飛ぶとは思わなかった。完璧すぎて逆に心配になりましたけどね。土井コーチに『どこでも入る』と言ってもらって、自分もそういう意識で打席に立てています」と振り返る。
ビシエドが右腕の尺骨骨折で今季絶望となる中、期待の和製大砲が夢を描く。
写真=BBM