打席に立てば、何かが起きる。怒濤の追い上げを見せる後半戦、彗星のごとく現れた宇佐見真吾が何度もチームを救っている。
城西国際大から2016年ドラフト4位で入団。長年の正捕手だった阿部慎之助と千葉出身、大卒、左打ち、体格と打撃フォームなど共通点が多く、“阿部2世”の呼び声もある。2年目の今季はキャンプから注目されたが、4月に右手骨折に伴う骨片摘出術。この苦難を乗り越え、8月8日にプロ初昇格すると快進撃が始まった。
同日の
阪神戦(東京ドーム)で初打席初安打をマークし、同18日の
DeNA戦(東京ドーム)の延長10回にプロ初本塁打をサヨナラ2ランで飾った。同25日に初先発マスクをかぶった阪神戦(東京ドーム)も同点2ランを放ち、9月5日の
中日戦(松本)では途中出場で9回二死から起死回生の同点2ラン。無類の勝負強さと冒頭の「打席に立てば、何かが起きる」期待感で一軍定着をつかみ取った。
「ファームではずっと、何とか一軍に上がってやるという気持ちでやってきた。ずっとやってきていることが試合での結果につながっていると思います」
コーチから指導されたことや試合中に気づいたことをこまめにノートに記し、寮では野球関係の書籍を読む勤勉家。「野球選手としてレギュラーを目指さないと意味がない」と話すように、チームの正捕手で28歳の
小林誠司からその座を奪い取るのが当面の目標だ。待望だった“打てる捕手”が、
巨人の未来を明るく照らしている。
写真=BBM