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斎藤佑樹は再びあの輝きを取り戻せるのか


 目指してきた理想に近づきながら、1球に泣いた。斎藤佑樹にとって結果を求めた登板での失投は悔いが残った。9月27日のオリックス戦(京セラドーム)。今季最後の先発機会が訪れ、立ち上がりから快調に飛ばした。落とし穴は1対1の同点で迎えた6回。ロメロに直球を右翼席へ運ばれた。

 打球の行方を確認すると思わず両手をヒザについた。表情も鬼の形相のように厳しかった。自分自身への怒りだった。降板後、球団を通じてリリースされたコメントにも感情がこもった。「真っすぐを間違わないようにと思って投げていたので、あの1球は失投」。今季2勝目を逃した。

 突き進んできた道が正しかったのかを結果で証明したかった。今季はゴロを打たせる投球を追求。結果がともなわなくても、愚直に目指すスタイルを貫いてきた。「今年やってきたことができるかの証明でもある」。

 登板前日に明かした覚悟を示すようにボールを低めに制球。狙いどおりにゴロアウトを重ねた。

 6回2失点(自責1)と先発として試合はつくったが、リードを許しての降板に「勝てなかったことが悔しい」。貫いたスタイルで勝つことが最大の目標だっただけに笑顔はない。ただ、必死に等身大で勝利を目指す姿は未来を切り開いたはずだ。栗山英樹監督も言った。「今年やってきたことは正しかったと証明した。あれだったら普通に勝てる」。この悔しさは、必ず未来につながるはずだ。

写真=太田裕史
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