自ら打球を処理しリーグVを決めた松田。内川と笑顔でピース
ベンチからチームメートが飛び出さんばかりに構えていた。9月16日の
西武戦(メットライフ)、9回二死。
サファテの内角156キロに詰まった代打・
メヒアのゴロを、サードの
松田宣浩はひと思いに捕り、一塁へ送球した。
「別に大事にいくことなんかない。普通にアウトを成立させるだけ」。自信のスローイングで3アウト。2年ぶりのリーグ優勝を決めた。
約半年前には悲しきラストシーンの登場人物だった。WBC準決勝、雨が濡らすドジャースタジアムでのアメリカ戦。1対1の8回一死二、三塁、A.
ジョーンズの緩いゴロの処理を焦ってファンブルした。本塁返球できず、一塁でアウトにするのがやっと。「グラブに入っていればホームで確実にアウト。少し上体がぶれて投げられなかった」。9回は空振り三振でラストバッター。「自分のミスで負けた」。さしもの“熱男”も沈み込んだ。
トラウマになりそうな一幕も、前向きに総括して切り替えた。「球場を出るまではきつかった」と言う。「ほかの人にない経験をさせてもらった。そういう考え方に変わった。悔しかったけど、日本代表にも選んでもらって、すごいプレッシャーの中で経験値を上げさせてもらった」。迎えたシーズンでも変わらずに振る舞った。
冒頭の優勝決定シーンでこんなことを考えていた。「デニス(サファテ)が三振取ったら、キャッチャーと抱き合う絵になるけど。(自身が)ずっと残る」。この考え方が、周りを巻き込む明るさのもとでもある。
写真=BBM