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楽天・藤平尚真 身に染みた「1球の怖さ」

 

プロ1年目、一軍の舞台で様々なことを学んだ藤平



 まさに痛恨の一発だった。藤平尚真は思わず両ヒザに手をつき、表情はうつろだった。9月13日の西武戦(Koboパーク宮城)、2点リードで迎えた6回だった。安打と四球で一死一、二塁のピンチを招くと、打席には強打者・中村を迎えた。追い込みながらも、甘く入ったフォークをすくわれる逆転の左越え3ラン。つかみかけていた自身の3連勝が、一瞬で吹き飛んだ。

 好投していただけに、その一発が悔やまれた。4回までは無失点。5回には1点を失ったが、なおも二死満塁のピンチで秋山を空振り三振に仕留め、最少失点で切り抜けていた。「打たれてはいけないところで、甘くなってしまった。自信になる部分もあったし、全力で切り替えてやっていきます」と悔しさをにじませた。

 登板後には「ムキになった部分もあった」と振り返る冷静さも取り戻していた。「勝負の世界だから、バッターに対してムキになるのはそんなに悪いことではないと思う。ただ、自分の力を操れるぐらいじゃないとダメ。ムキになり過ぎると抜けるボールも増える。ビデオを見直しても、それは思いました」と自戒した。

「1球の怖さ」が身に染みた。「勝てた試合だったと思うし、1球の怖さを思い知った。抑えないといけないところで、ああいう1球。次は絶対に繰り返さないようにしたい」。1つのミスが試合を左右する、プロの厳しさをあらためて胸に刻み込んだ。成長した姿で、次のマウンドに向かっていく。

写真=井沢雄一郎
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