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DeNA・梶谷隆幸 あきらめずバットを振る

 

昨年のCSは左手薬指を骨折しながらプレーを続けたガッツの持ち主。ここ一番で頼りになる男だ


 致命的なミスを犯したわけではない。主力としての責任感が、梶谷隆幸の背中を押していた。9月24日の阪神戦(甲子園)。試合前の時点で打率.248まで落ち込んでいた。前日(23日)の中日戦(ナゴヤドーム)は「二番・右翼」で4打数1安打3打点。勢いに乗るはずが、あまり表情は晴れなかった。

 チームより早く宿舎を出発。「練習するしかない」と現状打開へバットを振り込んだ。2013年に打率.346、16本塁打と開花し、翌14年からレギュラーに定着。かつて快足を売りにした男は、攻守走で安定感を身につけるようになった。主将の筒香嘉智らと並ぶチームの看板選手。阪神戦では3打数無安打だったが、CS進出へ目の色を変えた瞬間だった。

 桑原将志の後を打ち、ロペス、筒香へつなぐ攻撃的二番──。ラミレス監督の肝いり構想だった。ヤクルトとの開幕3連戦は14打数6安打。最高のスタートだった。3、4月の月間打率は.272。これをピークに下降線をたどった。時に三番へ打順を変え、7月5日の阪神戦(横浜)から七番に。「自由に打ってもらいたい」と指揮官の“親心”でもあった。

 8月23日の広島戦(横浜)ではサヨナラ打を放った。同点の延長10回無死一塁で右越え二塁打を放ち「バントかな……と思ったけど、僕を信じて打たせてくれた監督に感謝しています」と喜びをかみしめた。157三振(10月5日現在)はセ・リーグで最多だ。少々荒くても、大一番では必ず仕事をしてくれるはずだ。

写真=高塩 隆
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