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ヤクルト・奥村展征 すべてを糧にして

 

今季、チームは敗戦を重ねたが、奥村にはアピールするチャンスが待っていた


 自らのバットで目前での胴上げを阻止した。広島にとっては、本拠地でのリーグ連覇のかかった9月16日の一戦(マツダ広島)。4対4の8回一死満塁で奥村は、今村の直球をセンターへ打ち返した。決勝の犠牲フライは、チームにとって、そして自身にとっても価値ある一打となった。

「今までだったら、低めのボール球を振って自分でカウントを悪くしてしまい、最後は三振ということが多かった。やっとチームに貢献できました。チームのために何ができるかを考えて、今日は状況に応じた打撃をすることができたと思う。自分の意識の中でも、今までとは違う感覚でした」

 今季、チームは優勝争い、CS争いから早々に脱落。来季に向けて若手を起用する方針となった。奥村はその一人として、7月中旬に一軍昇格。同11日の古巣・巨人戦(東京ドーム)では菅野からプロ初安打を放った。後半戦に入ると、遊撃のスタメンで先発することが増えた。しかし、なかなか安打が出ない。アピールに必死で、特にチャンスでは力が入っていた。

 初めて一軍に長期帯同。正遊撃手の大引が故障がちで、ライバルの西浦も不調。しかし、自身も結果が出なかった。そんなとき、ヒントは身近にあった。山田ら実績のある先輩たちの打撃を見ると、まずチーム第一の精神があった。自分に足りないものを自覚し、そうして冒頭の結果につなげた。「今が僕にとって大事な時期であることは分かっています」と、すべてを糧にする覚悟だ。

写真=前島 進
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