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中日・大野雄大 屈辱を糧に

 

終盤戦で好投を見せた大野


 忘れもしない。チームにとって今季ワーストゲームと言っていいだろう。「最後まで投げろって話です」。7月26日のヤクルト戦(神宮)。6回までに10対0と一方的な展開。誰もが勝ちを確信していた。マウンドには無失点ピッチングを続ける大野雄大。それが……。

 7回に中村悠平に2ラン。それでも8点差。続く8回無死一塁からバレンティンに低めの直球をとらえられ2ラン。続く山田哲人に四球を与えると、ベンチは動いた。交代。これが惨劇の始まりだった。

 後続も燕打線を止められず、一挙8失点でこの回に追いつかれ、延長10回に力尽きた(10対11)。

「後ろの投手や野手に申し訳ない。それだけです」。10点差の逆転劇は、プロ野球史上最大タイで、4度目の惨劇となった。

「1イニングでも長く」が先発投手の務め。しかしそれは1つずつアウトを積み重ねることでしか可能にならない。そのことをあらためて感じさせられた。

「いろいろと難しく考え過ぎていた。自分の場合は、直球は力さえあれば高くても大丈夫。あとは変化球が低めにいくか」

 原点に戻った。すると9月に入り、結果がともなってきた。9月6日の巨人戦(前橋)で今季初完封。続く13日のヤクルト戦(神宮)では負け投手にこそなったが、8回2失点で2試合連続完投となった。持ち味である高低を使ったピッチングができれば、この結果も当然だろう。「来季に向けて最後まで頑張りたい」。確かな手応えをつかんで今季を駆け抜ける。

写真=BBM
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