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ヤクルト・荒木貴裕 常に心と体を準備

 

休日返上で体を動かし、準備は怠らない


 打球は左翼席まで一直線に伸びていった。5月14日の中日戦(松山)。同点の9回二死満塁で荒木貴裕は大野の直球を完璧に振り抜くと、両手を空に大きく突き上げて走り出した。2号サヨナラ満塁本塁打。8回の守備から途中出場した背番号10の劇弾で決着がついた。「(サヨナラ打は)記憶にないです。体が震えるというか、体の底からわき上がってくる喜びがありました」と笑った。

 チーム随一のユーティリティープレイヤー。試合前の練習では、打撃練習が終わると、内外野のグラブと一塁ミットの3つを持ってベンチを出る。今季はメーンの一塁、三塁はもちろん、遊撃、左翼もこなした。もちろん、スタメンだけではなく、代打、守備固めとしての起用も多かった。休日にも必ずといっていいほどクラブハウスを訪れ、汗を流す努力家は「いつでも心と体の準備をするようにしています」と言う。故障者続出のチーム状況の中、あらゆる役割でチームを救った。

 左翼での出場は、6月の計4試合。スタメンが2試合、代打から守備に就いたのが2試合だった。「外野で試合に出ることはあまりないので、とにかく必死です。フライは難しいですね」。7月以降は左翼での出場はなかったが、準備だけは怠らなかった。近大時代には大学日本代表で主将を務めた逸材。真中前監督は「試合の状況を見て、こっちの考えをしっかり読んでくれる」と評価していた。小川新監督で再出発する来季も、その存在は欠かせない。

写真=前島 進
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