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中日・谷哲也 崖っぷちから這い上がる

 

さまざまなポジションに対応する谷哲也


 背中に刻まれた70番が、分かりやすい意思表示。「与えられたところで、何でもやるしかない。ダメなら終わりということです」。崖っぷちの数字を与えられてから4年目。谷哲也が試合終盤の足りないピースを補う。本職は二塁だが、三塁と一塁でも軽快な動きを披露。その使い勝手の良さが、打席での奮闘にもつながる。

 6月24日の巨人戦(東京ドーム)。7回二死一、三塁で代打が告げられると、初球に来た内角低めの直球をフルスイングした。「真芯だった」。打球は低い弾道で一直線に左中間席へ。プロ10年目、269打席目に飛び出した初本塁打。「まさか入るとは……。ホームランは打てないと思っていました」と破顔した。

「準備だけは常にしています」。バットだけでは存在感を見い出せない立場としての生きる術。休日もナゴヤ球場に来て汗を流す。試合前練習でも、時間ぎりぎりまで守備練習を繰り返してきた。今季も2年連続で50試合以上に出場。特に対巨人では、22打数8安打で打率.364、2本塁打、9打点と抜群の相性を見せた。

 兄貴分として慕っていた森野将彦が今季限りで引退。投手と捕手以外すべてのポジションを守りながら黄金期を支えた大先輩の偉大さをあらためて感じる。

「いろいろ面倒見てもらいました。僕も1年でも長くできるように頑張りたい」

 来年で33歳を迎え、ベテランへと向かうプロ人生。幅広い選択肢はこれからも大きな武器になる。

写真=BBM
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