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阪神・糸井嘉男 必死にもがいた1年/新天地1年目を終えて

 

移籍1年目、注目をされる中、ケガとも戦いながら阪神の2位へチームをけん引し続けた


 超変革2年目のチームをけん引したのは糸井嘉男だ。金本監督が「初めての恋人」と口説き落とした男は、度重なる故障のリスクを背負いながら移籍1年目を乗り切った。

 今季114試合出場で打率.290、17本塁打、62打点。昨季の53盗塁が21盗塁に減少したのをはじめ、本塁打数を除き下回った。だが、ここぞの場面での勝負強さは光った。

 例えば、開幕の3月31日広島戦(マツダ広島)で「三番・中堅」で出場し、天敵ジョンソンから3安打3打点で勝利に導きチームに勢いをつけた。

 もっともインパクトがあったのは、8月30日のヤクルト戦(甲子園)の延長10回裏に、プロ入り14年目にして初のサヨナラ本塁打を放って見せた。この一撃がチームを優勝争いに踏みとどまらせたのだ。

 今季の先発は「一番」が25試合、「三番」が83試合、「四番」で1試合出場。本人が「1試合、1試合死に物狂いでプレーしたい」といったように、攻守にハッスルし続けた。

 春先から右ヒザを痛め、開幕に間に合ったが6月に左大腿部挫傷に見舞われ、7月には右ワキ腹挫傷で一軍登録抹消。しかし、8月中旬に復帰すると、糸井パワーをサク裂させた。

 糸井は「僕が注目されるのは1年目だけだから」。ただ、チームがリーグ優勝を奪回するための重要な戦力である限り常にスポットライトを浴び続けるに違いない。
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