何もかもが初めての1年目。遊撃のレギュラーに定着して141試合に出場し、球団新人歴代最多を塗り替える149安打をマークした京田陽太にとって、契約更改交渉に臨むこともまた、未体験ゾーンになる。
「いくらぐらいになるのかなというのは漠然と想像することもありますが、契約更改がどういうものなのか、何もかも分からない。どうしたらいいのか……」
セ界を席巻した竜の新星も苦笑いを浮かべるばかり。お金の話をするのはイヤらしい――と謙虚過ぎても良くない。球界では「銭闘」という表現も使われる。年俸は、プロとしての評価。自らの価値を上げることでもある。
中日の新人で2年目の推定年俸が4000万円台に乗ったのは
川上憲伸、
福留孝介(現
阪神)、
岩瀬仁紀、
又吉克樹の4人だけ。推定1200万円から、どれだけの大幅昇給が待っているのか。京田自身だけでなく、周囲の期待も膨らむ。
周囲の評価は文句なし。セ・リーグの新人記録となる「ミスター超え」にあと5安打まで迫り、23盗塁は僚友の
大島洋平と並ぶリーグ2位。
「球団(新人安打)記録を作ることができましたし、ほぼ1年間、試合に出させてもらえた」と貴重な経験を積んだ。
しかし、ラスト4試合は12打数1安打。この大失速さえも、「良いことばかりでなく、課題を残して終わったのは良かった。来年に向けたモチベーションになります」。と前向きに受け止め、鍛錬の秋を過ごす。
写真=BBM