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ヤクルト・大松尚逸内野手 勝負強さは「世界遺産」/チャンスは任せろ

 


 昨季、ヤクルトで代打の切り札として活躍したのが、大松尚逸だ。2016年限りでロッテを戦力外となり、昨年2月の宮崎・西都での二軍キャンプで、テストを経て入団。94試合で打率.162、3本塁打、16打点と寂しい数字に終わったものの、その存在感は際立っていた。

まずは、昨年5月9日の広島戦(神宮)。2対2と同点の延長12回に先頭打者として打席に立つと、右翼席へソロを放って試合を決めた。「本当に感無量です。頼むから入ってくれと思っていました」と本音が飛び出した。続いては、7月27日の中日戦(同)。最大10点差を追いつき、迎えた延長10回に右中間席へまたもサヨナラソロを放ち、歴史的な大逆転勝利に導いた。昨年の本塁打数は3だが、本塁打を打った試合では、必ずチームを勝利に導いている。

「野球をできていることが幸せ。この幸せをかみ締めている」と大松。昨年12月には、200万円増の年俸1000万円で契約更改(金額は推定)。同月には「代打は打ち損じをすると厳しい」という理由から護摩行で精神面を強化した。

「炎に対峙しながら4時間くらい無心でお経を唱えました。まぶたの上や鼻、口をやけどしたけど、やり遂げることができてよかった。来年、いい方向に出ればいい。もう一度レギュラーで出たい思いを持ちながら、代打では1球で甘い球を仕留めたい」

 プロ14年目の今季も、かつて「世界遺産」と呼ばれた類まれな勝負強さで、勝利に導く。

写真=川口洋邦
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