チームの元気印・杉谷拳士がアリゾナで猛アピールに成功した。現地時間2月10日（日本時間11日）から始まった実戦３試合すべてで安打を記録。10打数4安打、打率4割と打撃で存在感を発揮した。「打つほうでアピールしたいと思っていた」と思惑どおりに一次キャンプを最高の形で締めくくった。

　先制パンチが決まって勢いに乗った。10日の韓国ＫＴとの練習試合の3回。今シーズンの実戦初打席で1ボールからの2球目、ファーストストライクをとらえた。右打席から放った鋭い放物線は左翼の芝生席へ吸い込まれた。「キャンプでの1戦目はすごく意識していた。1スイング目で決められたのは良かった」と笑顔を見せた。

　目の前に転がってきたチャンスを生かした。10日の試合は当初はベンチスタートの予定だった。だが、スタメン予定の大田が体の張りを訴えて出場を回避したことで、出番がめぐってきた。急きょの出番にも浮き足立つことはなし。オフに単身でオーストラリアに乗り込み、ウインター・リーグで磨いた打撃を見事に披露した。

　外野も内野もこなすユーティリティープレーヤーも今シーズンで10年目。節目の年にレギュラー奪取への思いは強い。進化の兆しを見せる打撃に栗山監督も「どうキープするか。『冷凍保存しようか』とベンチの中で言っていたよ」と冗談を交じえながらも成長を称えた。人一倍の元気さに加えて実力も伴えば、背番号2がキーマンの1人になってくれそうだ。

写真＝BBM