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中日・阿部寿樹 ハードパンチでアピール/スタートダッシュを決める

 

長打力を増している阿部



 甲高い衝突音を残し、打球は左翼芝生後方の防球ネットを越えた。キャンプ初の対外試合となった2月12日の韓国・ハンファ戦。阿部寿樹にとっての今年初打席はアピール満点の場外弾となった。

 フルカウントからの変化球に対応した充実の一撃。追い込まれても際どいボール球を見極め、一振りで仕留めた。「そこが成長したかなと思うところ。昔なら、がっついて振っていた」。3年目。とはいえ、28歳の未来を待ってはくれない。生き残るにはアピールを続けるしかない立場だ。

 この春季キャンプ。周囲から聞こえるのは「阿部ちゃんの打球が伸びる」の声だ。例えば、フリー打撃中に外野守備に入っていた大島洋平は「え、こんなに飛ぶの? あの打球が入るの?」と目を丸くして打球の主を確認すると、阿部だったという。

そんなことを話題にすると、阿部は「風ですよ、風。今年の北谷は打者にとって追い風の日が多い。逆風のときは、やっぱり戻されます」と謙そんする。ただ、飛ぶ根拠は、思い当たる。打球の角度だ。

「ボールの下をたたけ」。昨年秋から首脳陣から繰り返し受けたアドバイスが、体に染みついてきたということだろう。

 竜党はどうしても背番号「5」に、前任者の和田一浩(2015年に現役引退)をイメージする。ボールをつぶす音が「ガチン」と響き、その衝撃が飛距離を生む。3年目の「ハードパンチャー」が、内野陣の競争の中で強烈な存在感を放っている。

写真=BBM
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