自身初の開幕投手から、最優秀防御率に向けたスタートを切る千賀
22試合登板で13勝4敗、勝率.765をマーク。
千賀滉大は昨季パ・リーグ勝率第一位投手となり、育成出身ではリーグ初のタイトルホルダーとなった。オフの『NPBアワード』は2012年、ウエスタン・リーグの最優秀防御率で出席して以来。晴れがましい舞台に上がったことで「来年はもっといいタイトルが欲しい。ここに来たら、そういう気持ちになった。先発をやっているので、防御率が欲しい」と謙虚な右腕に欲も出た。
昨季は左背部の張りなどで一時離脱しながらのタイトル。受賞時には「この中に仲間入りしたのか、と思います。そういう選手になりたいというのは、僕だけじゃなく、プロ野球選手みんなのモチベーション。それが手元にきた」と話している。この年は3月のWBCに出場して日本代表唯一のオールWBCチーム(ポジション別優秀選手)。今年3月、
稲葉篤紀監督就任後初のフル代表戦となった強化試合では、初戦の先発を任され、2回全6アウトを三振で奪いパーフェクトだった。昨今のプロ野球を象徴する“育成の星”の代表格と言える。
昨季の防御率はリーグ3位の2.64。2.6433で、4位のチームメート・
東浜巨の2.6437と4糸差のトップ3入りだった。2位の
楽天・
則本昂大は2.57で小差ながら、トップの
西武・
菊池雄星は出色の1.97で、同様の水準を目指すには0.7近く数字を向上させなければならない。「お化け」と称される代名詞のフォークだけに頼らず、オフから横変化のスライダーに挑戦してきた。育成の星は満足していない。
写真=佐藤真一