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ヤクルト・石川雅規投手 暗いトンネルを抜け出した“燕愛”を貫く小さな大エース/生え抜きの意地

 

まだまだ取り返していない。次の1勝を目指す


 プロ17年目――。石川雅規の姿は、一軍のマウンドにあった。3月31日のDeNA戦(横浜)。開幕2戦目の先発を任された38歳は、6回2/3を投げ6安打3失点と粘りの投球を見せ、「チームも勝って、自分にも勝ちがついた。本当にうれしい」と笑顔を見せた。

 昨年、チームは球団ワースト記録の96敗を喫し、自身も23試合で自己ワーストの14敗(4勝)、防御率5.11という成績に終わった。悔しさを味わい、再起を懸けたシーズンで手にした今季1勝目は、昨年5月18日の巨人戦(東京ドーム)以来の勝ち星。自身の連敗を11で止める大きな白星となった。

 球団の歴史に、また名を刻んだ。この1勝で、2002年の入団から17年連続の勝ち星。松岡弘の球団記録を塗り替えるメモリアル付きの勝利だった。過去52人しか達成していない、1500奪三振の記録までも残りわずかだ。

 一途な“燕愛”は変わらない。「気持ちが切れて終わるのは簡単。ケガをしても取ってくれたヤクルトで最後まで頑張りたいし、もう一度優勝をして、恩返しをしたい」。ふがいなさ、悔しさが残った昨シーズン。もう一度、スワローズで花を咲かせたいと覚悟を決めた。

 いつも応援してくれる家族は「一番のファン」。「みんな家が好き」と外食はせず、家族だんらんを楽しむ。小川監督は「何より連敗が止まったのが大きい。攻めていたんじゃないか」と評価した。酸いも甘いも知る小さな大エースは、これからもチームのために戦い続ける。

写真=大賀章好
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