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巨人・阿部慎之助 若返り見せるチームのV奪回への切り札/ここから巻き返す

 

4月29日のヤクルト戦で同点2点適時打を放ち、スタンドにVサインを見せる巨人阿部慎之助。開幕から11打席目での今季初安打でもあった


 阿部慎之助がバットを持ってベンチから飛び出すと、4万人超のファンで埋め尽くされた東京ドームは大歓声で揺れ、敵地は大きくどよめく。昨年、通算2000安打を達成した18年目の大ベテランは、今季、新たな役割である代打稼業でチームを支えている。

「すごく難しいことを経験させてもらっています。1試合に1打席でも、いつも大事なところで使ってもらえる喜びを持って、期待に応えたい」

 チームの世代交代が続く今季は、切り札としてベンチに控える。オープン戦は打率.083と不振が続き、12球団最多の15打点をマークした4年目の期待の和製大砲・岡本和真に一塁の定位置を奪われた。ケガ以外で開幕スタメンを外れたのは自身初だった。

 不動の主軸だった男にとって、1打席勝負の毎日は苦しいものだった。2つの押し出しなどで3打点を挙げながらも、すべて代打で10打席無安打が続いた。だが、「試合を左右する場面で使ってもらえている。意気に感じてやろうと思った」と前を向き続けた。

 そして、見せ場はやってきた。4月29日のヤクルト戦(東京ドーム)、2点を追う7回一死満塁に代打で登場。近藤一樹から右前へ同点2点打を放ち、4点差からの逆転勝利に貢献。11打席目の今季初安打に「初めて仕事ができた」と、塁上では笑顔でスタンドに向かってVサインを決めた。

 1カ月越しの“開幕”で活力を取り戻した阿部は、5月6日のDeNA戦(横浜)では今季初スタメン(四番)。1号アーチを放つと、10日の阪神戦(東京ドーム)では再び四番に座って決勝点となる先制の3ランアーチでこの日初先発の内海哲也の306日ぶり一軍勝利を強力援護。ようやく目覚めた大打者が、若きチームを力強く後押しする。

写真=BBM
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