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DeNA・大和 要所でこそ発揮される名手の技/守備職人のプライド

 

捕球してからの速さと同時に、安定した送球も光る


 決して派手なプレーが多いわけではないが、この人が遊撃にいるだけで守備陣形全体が引き締まって感じられる。ラミレス監督が指揮3年目に掲げる「スモールベースボール」が1点を取りにいく攻撃ならば、それは失点を抑える高いディフェンス力が伴わなければ成り立たない。今季のDeNA阪神からFA移籍した大和の加入がチーム守備力を引き上げている。

 球界屈指の名手と言われる大和がこだわりを持つ一つに、捕球から送球までの速さがある。今年1月の自主トレでは革の素材が硬く完全には閉じないグラブも試した。握り替え動作のさらなる時短を追求する姿勢からだ。とにかく速い。遊撃手・大和の送球の素早さが生き、間一髪で取り切った併殺は開幕からすでに数知れない。

 印象的なのは4月29日の中日戦(ナゴヤドーム)。2対1の6回無死満塁からDeNA守備陣が珍しい「6―2―5」の併殺を完成させたシーンだ。遊撃から送球を受けた後に三塁に投げて二塁走者を刺した捕手・嶺井博希の好判断もさることながら、永池恭男内野守備走塁コーチは大和の素早い処理がその時間を生んだことに目を向ける。二塁寄りのゴロを捕球後、軸足をスライドさせるように動かして難しい体勢から速く正確な送球を届けた。「助けられている部分がかなりある」と称賛する。

 移籍時に「自分の持てる力を存分に発揮し、優勝するために来た」と話した大和。名手の生む“違い”は要所でこそ発揮されている。
写真=佐藤真一
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