今年もここから、大ベテランのエンジン加速に期待したい。新井貴浩は昨年、夏場によく打った。昨年5月末の段階で打率.265だったが、6月の月間打率は.348。7月も.367と調子を上げた。代打での起用が多かったものの、打席に立てばインパクトのある結果を残し続けた。
昨年のチームは7月に15勝7敗と白星を重ね、リーグ連覇への道を突き進んだ。新井も強力打線の中で若い選手を鼓舞しながら、潤滑剤のような存在となり、暑い屋外のマツダ
広島を本拠地にしながらも、衰え知らずの体力で屋台骨を支えた。ちなみに25年ぶりリーグ制覇でMVPに輝いた16年も7月は打率.443、7本塁打。今年も打線を活性化させたい。
今年は開幕直前に左ふくらはぎの故障が発生。14年ぶりに開幕一軍から外れた。二軍戦を経て、戦列復帰は5月11日。同23日の
巨人戦(ひたちなか)ではプロ入りから20年連続となるアーチを放った。大卒選手としては
金本知憲(現
阪神監督)、
稲葉篤紀(現侍ジャパン監督)以来3人目の快挙に「周りの皆さんのおかげ」と感謝。DH制のパ・リーグ本拠地の交流戦では、スタメン起用も多かった。
モットーの全力プレーは健在。「しっかり準備することが大事」と口グセのように話す。打席に向かう名前が
コールされるだけで大きな歓声。打てば球場全体がさらに沸く。ホーム、ビジター関係なく多くのカープファンが詰めかけるスタンドを、夏祭りのように熱く盛り上げる。
写真=BBM