宣言どおりのオール直球勝負だった。大瀬良大地は初出場したオールスターの第2戦(熊本)で自慢の速球を投げ込んだ。
ソフトバンク・甲斐にはフェンス際まで飛ばされたが中飛に抑え、柳田は145キロで二ゴロ。
西武・外崎にはこの日最速147キロを計測し、最後は浮き上がるような高めで空振り三振。笑顔が広がった。
「空振りを取りたいと思って、最後は力を入れました」。登板前には「行けるところまでは」と、直球を続けることを誓っていた。ひそかに狙っていた自己最速154キロの更新はならなかったが、10球で3人を片付けた。
前半戦だけで10勝。6月中の到達は2013年に24勝した
田中将大(当時
楽天)以来で、
広島の日本人投手では1982年の
北別府学以来36年ぶりだった。裏には軸となる速球への自信が大きい。
「キャンプのときから周りの人の評価が、僕の想像より高かった。この真っすぐなら、シーズンに入ってからもストライクゾーンで勝負できると思った」。昨オフに左手を高く上げるフォームに変更。今季からの二段モーション緩和も追い風にした。今季の最速は151キロだが、従来のスピードにキレが加わった。
「今もたまに見る」という映像が、2006年オールスターで
阪神・藤川が元西武・
カブレラに力勝負を挑んだシーン。「あんな速球を投げてみたい」と目を輝かせる。炎のストッパーと呼ばれた
津田恒実氏の背番号14を受け継ぐ右腕は、これからも速球に磨きをかける。
写真=BBM