週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

中日・松坂大輔投手 あの夏の延長線上に/甲子園のヒーローは今

 

松坂には、いつまでも夢を見させ続けてくれそうな雰囲気がある


 目の前の壁をゆっくりと壊し、慎重に乗り越えた。8月1日の阪神戦。背中のねん挫で離脱していた松坂大輔にとっては、レギュラーシーズンでは2カ月ぶりの登板になった。「もう痛めたところは問題ない」。夏休みのナゴヤドーム。相変わらずの大歓声を浴びた怪物は5安打を許し、6四死球を与えながらも、5回2失点と粘って4勝目を手にした。

 「次回はもう少し長いイニングを投げたい」。試合後に漏れた言葉は本音だろう。患部が背中だったことを踏まえた慎重な再出発。いわば、試運転とも言えた。ここから状態を上げていけるかどうかが最大の注目だ。

 テスト入団で新天地に足を踏み入れた今季は右肩の不安も癒え、着実に登板を重ねていた。しかし、その歩みは3勝目を挙げた6月8日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)で止まった。同17日の西武戦(メットライフドーム)で登板直前に背中の捻挫を発症し、先発を回避。このアクシデントが尾を引いた。ファン投票で選出されたオールスターゲームは第1戦で先発して5失点。回復途上での1イニングを経て、復帰に向けた準備を進めてきた。

 20年前の夏。PL学園高と延長17回の激闘を繰り広げた。京都成章高との決勝では、無安打無得点を達成。その物語は、伝説として今も語り継がれる。「うれしい思いも、つらい思いも、人生で一番あった。その先の人生に生きてくる3年間だった」。すべての試練は、高校時代の延長線上にある。松坂にとっては、その原点が今に連なっている。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング