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ロッテ・二木康太 プロ初完封で完全復活を告げた未来のカモメのエース/わがチームの絶好調男

 

プロ初完封で今季3勝目をマークした二木


 圧巻の投球だった。8月17日の楽天戦(楽天生命パーク)、許した安打はわずかに2。ロッテ二木康太は鮮やかな119球のプロ初完封劇を演じてみせた。

 プロ5年目となる2018年は飛躍の1年となるはずだった。昨季はチームトップの7勝をマークし、防御率も3.39と前年より2点近く良化。真っすぐのキレが増したことで自慢のフォークの威力も上がり、規定投球回&防御率3.50以下という自らが設定した目標をクリアした。

 春季キャンプを迎えるころには涌井秀章とともに開幕投手候補に名前が挙がるまでになり、新たに就任した井口資仁監督も「来年(2019年)はエース級のナンバーに替えるくらいの意識でやってほしい」と背番号64への期待を隠さなかった。「規定投球回と防御率2点台、そうすれば2ケタ勝利はついてくる」という本人の目標設定は、むしろ低いようにも感じられたほどだ。

 しかし、オフにつまずきがあった。進化したはずの真っすぐが走らない。キャンプからオープン戦、そして開幕を迎えてもストレートの威力は戻らず、わずか1カ月で二軍での再調整を余儀なくされる。

 そこから約2カ月半、ファームでは徹底して体を作り直した。生命線である「ファウルを取れる真っすぐ」。カウントを整えてフォークで仕留める自らの追い求めるピッチング。その前提となるストレートを取り戻すべく、必死に汗を流した。

 一軍の舞台に戻ってきたのは7月18日の楽天戦(ZOZOマリン)。「2カ月半、ファームでやってきたことを出し切ろうと全力で行った」と言うように7回途中まで2失点と試合を作り、先発ローテに復帰。打線の援護に恵まれず勝ち星はつかなかったものの、以降は順に6.1回2失点、7.2回1失点、8回1失点、8回2失点と完全復活を印象づけていた。

 そして今回の完封劇。3カ月半ぶりとなる今季3つ目の勝利に「素直にうれしい。ホッとしています」と口にしたが、続けて「(チームは)まだまだ上位を狙っている」と力強く宣言した。涌井&石川歩の二枚看板が二軍再調整という苦しい先発ローテを、未来のエースがここからけん引していくはずだ。

写真=井沢雄一郎
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