ベテランとなった“天才”が、息を吹き返した。7月28日に36歳となった亀井善行は今季、14年目にして自己最高に近いシーズンを送っている。
昨季終了後、チームが
中日からA.
ゲレーロを獲得。亀井は今季へ挑む前に「正直、外野は埋まったのでどうやって生きていこうかなと。現実を見て、自分のポジションを確立して、あとは若手のバックアップをしていきたい」と、正直な胸の内を明かしていた。
昨季は代打で打率.341、17打点で勝負強さを発揮した。今季も代打の切り札を務めることになることが予想されたが、フタを開けてみれば、打線の主軸として“復活”のシーズンを送っている。
開幕直後の4月3日に
陽岱鋼が死球で左手を骨折。春季キャンプ、オープン戦は二軍だったが、代役として昇格すると、一気に外野の定位置の座をつかんだ。8月2日の
DeNA戦(横浜)では2試合連続となる11号ソロを放つなど、好調を維持している。
2005年の入団以来、規定打席に到達したのは.290、25本塁打、71打点と活躍した09年の1度だけ(この年の春には第2回WBCに出場)。たび重なる故障に泣いてきた亀井が、今季は8月23日時点で388打席。本人は「自分の記録はどうでもいい。与えられた出番で結果を出すだけ」と意識しないものの、2度目の規定打席到達は射程圏内だ。ここまで打率.273はまずまずだが、得点圏打率は.395に跳ね上がる。いぶし銀が、シーズン最後まで駆け抜ける。
写真=BBM