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ロッテ・ボルシンガー 低評価を覆してチームに不可欠な存在に/助っ人選手通信簿

 

ボルシンガーロッテの先発陣をけん引する存在となった


 いい意味での誤算という話では、今季一番だろう。ブルージェイズから新加入のボルシンガーは7月までに11連勝をマーク。スタンカ(元南海)とマイコラス(元巨人)に並ぶ外国人最長タイの大記録を打ち立て「とても名誉なことでうれしい」と愛嬌のある笑顔で語った。

 オープン戦で不安定な内容に終始し、開幕直後も起用の優先順位は低かった。その中で一つ、また一つと勝ち星を積み重ねていくと井口資仁監督のコメントにも変化が生まれた。「安定はしている」と評価するようになり、「エースですから」と言わしめたこともあった。

 剛速球や抜群の制球力があるわけではない。首脳陣の期待が高くなかったのもうなずける。それでも本番になると打たれない不思議な投手だ。フォーシームなのに微妙に曲がる速球に加え、ナックルカーブとスライダーが武器。曲がり球は130キロ弱とほぼ同じ球速で曲がり方が違うのでやっかいだ。

 ボルシンガーはその中でも「カーブが生命線。アメリカでは半分がカーブだったこともある」と話す。カウントを整えるときも、空振り三振を狙うときも使える。

 8月に入って疲労で右手の違和感を訴え、勝利のペースはガクンと落ちた。「アメリカ時代もやっていた」というはり治療を施すなどして一度は復帰したが、思うように体調は戻らず再び登録抹消となった。

 最多勝、最優秀防御率など射程圏だったさまざまな個人タイトルは遠のいたが、「最後までチームの勝利のために頑張るよ」と忠誠心を口にする。シーズンの復帰がなるかは不明瞭だが、今やロッテに不可欠な存在であることに違いはない。

写真=BBM
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