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DeNA・石川雄洋内野手 “味のあるプレー”で魅了/生え抜きの意地

 

堅実な守備だけでなく、犠牲バント、四球など大砲が並ぶDeNA打線において、つなぎ役に徹することができる貴重な存在


 地鳴りのような大歓声が迎えてくれた。それは腐らず、出番を待ち続けた男へ向けられたものだった。「緊張しました。あの声援は本当にうれしかったし、忘れることはできないですね」。

 7月1日の広島戦(横浜)。1対13とほぼ試合が決まっても、石川雄洋は集中力を切らさなかった。7回一死一塁、代打で今季初出場。遊ゴロに倒れたが、一軍でしか味わえない充実感があった。

 プロ14年目。生え抜きの最古参として迎えた今季は、2月のキャンプからずっと二軍暮らしだった。かつての指定席だった二塁は柴田竜拓が台頭し、FAで大和が加入。新戦力に押し出される形で、遊撃から倉本寿彦もコンバートしてきた。「こういう状況を招いたのは、僕自身の責任でもあるので……」。2014年の138試合をピークに出場機会が減少。若手を積極起用するラミレス監督の方針にも言い訳をすることはなかった。

 開幕から1カ月、2カ月と経過し、ファームの打率は2割前後。苦しみは内に秘め「やるのは自分だから」と逃げ道をつくらなかった。努力を重ねてたぐり寄せた一軍の舞台。8月12日の阪神戦(横浜)では2回に11球粘り、最後に押し出し四球を選ぶ執念を見せた。

 バントの巧さはチーム随一で、代打、代走、守備固め。役割は多岐にわたるだけでなく、オリックスからトレードで加入したばかりの伊藤光を真っ先に食事へ誘った気配りも見逃せない。通算1000安打にも19本。目標のCS進出へ、味のあるプレーが支えになる。
写真=大賀章好
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