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中日・松坂大輔 勇気を与える復活劇/復活の1年

 

バースデー勝利を挙げた松坂。左でふかぶかとお辞儀をするのは、同じく誕生日の荒木雅博


 この男には甲子園がよく似合う。38歳のバースデー登板となった9月13日の阪神戦でウイニングボールを手にした。試合後の松坂大輔が口にしたのは、現役生活に別れを告げることを決意した同世代のライバルたちへのメッセージであり、現役続行宣言だった。

「村田(村田修一・元巨人、BCL栃木)、後藤(後藤武敏DeNA)、杉内(杉内俊哉・巨人)君が引退を表明して、彼らの分もというか、僕はもう少し頑張るよという決意表明の日にしたいと思って投げていました」

 平成最後のシーズンに舞い戻った怪物。11度の先発で6勝。ソフトバンクで過ごした日本球界復帰後の3年間で1度しか一軍登板機会がなかったことを思えば、「奇跡の復活」という表現も決して大げさではない。

 日米で積み上げた実績は過去のものとなり、入団テストという形式を踏んでの中日入りだった。最大の懸念は右肩の状態。松坂によれば、日本各地を回っても突き止められなかった原因が昨秋に判明。それでも、投げることに関しての不安が完全に消えたわけではないはずだ。3年間満足に投げていないベテランの復活には周囲も半信半疑だった。しかし、その予想は見事に裏切られた。

 「月に1度か2度、投げられればいいと思っていた」という森繁和監督の想定を超え、一時は中6日にも挑戦。ふくらはぎのけいれんや背中のねん挫というアクシデントはあっても、肩ヒジの問題による離脱はなかった。世のオジサンにも勇気を与える復活劇で、昨季の岩瀬仁紀に続くカムバック賞の有力候補だ。



写真=BBM
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