2年前に流行語となった「神ってる」を連想させるような、
広島の大逆転サヨナラ劇だった。
8月23日の
ヤクルト戦(マツダ広島)。四番の鈴木誠也が主役となった。5対8と追いかける9回。まずは一死一、二塁から丸が同点3ランを中堅にかっ飛ばした。これだけでも本拠地は大歓声だが、その余韻が残る中で鈴木も石山のスライダーを強振。打球は左翼席に消え、もう熱狂の渦だ。
「奇跡です」と繰り返した鈴木は、興奮冷めやらぬ様子。「丸さんが同点にしてくれた。もう一回、一から塁に出ようと思っていた。最高の結果になって、サイコーです!」と振り返った。
台風が迫っている中でのプレーボール。先発の岡田が打ち込まれ、4回まで0対7と敗色濃厚。それでもコツコツと反撃し、7回には鈴木の2点適時打で3点差に迫っていた。
そして最終回のドラマ。緒方監督も「数々の試合を経験してきた中で、一番の思い出になる試合。打った誠也もすごいし、その前の丸のまさかの3ランもね」と強力コンビに感謝した。優勝マジックを26から2つ減らし、3連覇に近づいた試合だった。
時間を置いた鈴木は、冷静になって言った。「丸さんが打ったから、自分は打ちづらかったですよ。あそこで打つ丸さんは、やっぱりすごい」。個人成績を気にせず、チームの勝利に一喜一憂する若き四番。白星に直結する仕事をやり終え、少し安心したような顔だった。
写真=BBM