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ヤクルト・上田剛史 「奇跡」を完成させた伏兵の劇弾/後半戦ベストゲーム

 

自身2年ぶりの一発が勝利をもたらした



 まさに、奇跡。そう表現するにふさわしい、ミラクルな幕切れだった。9月4日の中日戦(神宮)。6点を追う9回に追いつき、延長11回に12対9でサヨナラ勝ち。連敗を「3」で止め、クライマックスシリーズ(CS)進出へ勢いをつけたベストゲームに、小川淳司監督もこの「2文字」を口にした。

「すごかった。『奇跡』のようなゲームだった」

 開幕から指揮官が口にしてきた「執念」を、選手たちが体現した試合だった。9回先頭の西浦が四球で出塁すると、続く代打の武内が右中間席へ4年ぶりの本塁打となる2ランで、反撃ののろしを上げる。上田が一ゴロに倒れた後、坂口の中堅への二塁打、青木の右前打、山田哲の左翼への二塁打などで好機を広げ、雄平の中前2点打で1点差。二死一塁から大引が右中間適時二塁打を放ち、土壇場で同点に追いついた。

 そして、延長11回。試合を決めたのは、ヤクルト一筋の12年目、上田剛史だった。9回に凡退していた悔しさを晴らすかのように、二死一、二塁から右翼席へのサヨナラ3ラン。自身2年ぶりの一発は自身初の劇弾となり、「最高です。自分も(本塁打と)思っていなかった。(バットの)芯できっちりとらえられた」と振り返った。

 チームが若返りを図る中、中堅とベテランが勝負強さを見せて劇的な勝利に導いた。この一戦で勢いをつけ、セ・リーグ2位を確定させたヤクルト。CS進出へ「執念」を見せた大きな試合だった。

写真=BBM
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