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中日・京田陽太 グラブで変えた“リズム”/あの悔しさを胸に

 

昨季は1つのグラブで“完走”したが……


 もがき、苦しんだ。「2年目のジンクス」というものが実際にあるのなら、おそらくこれがそうなのだろう。昨季のセ・リーグ新人王、京田陽太にとって、今季は泥水の中をもがきながら泳いでいたような心境だっただろう。

 「春のキャンプに入った時点で、ヤバイな、と思っていました。明らかに自主トレでの準備が足りていなかったんです」。表彰、イベント、さらには結婚。オフは多忙を極め、球春への備えは十分ではなかった。打率は規定打席に達したものの、“逆首位打者争い”の輪から抜け出すことができない。「これが2年目の難しさなんですかね」。ポツリとつぶやくひと言にも、焦りを漂わせていた。

 京田が常に意識しているのは「守備からの打撃」だ。まずは守備で自分のリズムを生み、それを打撃にもつなげる。状態が上がらないまま迎えた8月中旬に、1つの大きな変化があった。シーズン中のグラブ変更だ。思い切った決断は奏功。その後の失策はわずかに2つ。グラブがすべてではないだろうが、足の運びも軽くなり、バットにも快音が戻った。

 9月8日の広島戦(ナゴヤドーム)から11試合連続安打をマークし、その間は43打数20安打。「ようやく、です。少し遅過ぎましたけど……。こんなに悔しい思いは2度としたくないので、このオフはみっちりとやります」。力のある者にしか「2年目のジンクス」は訪れない。今季の苦しみは、真価を問われる3年目の糧となる。


写真=BBM
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