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中日・岡田俊哉 左手血行障害からの復活/あのドライチはいま

 

左手血行障害から、復活を果たした


 もう一つの復活劇があった。移籍1年目の松坂大輔の陰で、しかし、その苦労を知る者からの拍手を浴びた。岡田俊哉の今季初登板は、5月15日のナゴヤドームでの広島戦。左手血行障害で登録を抹消されてから、ちょうど1年ぶりのマウンドだった。

 智弁和歌山高から2009年秋のドラフト会議で、外れ1位の指名を受けた。メジャー移籍した川上憲伸の後を継ぐ背番号11に、球団の期待が集約されていた。その後、川上の中日復帰に伴って背番号は変更されたものの、17年は侍ジャパンに選ばれてWBC出場。着実に「竜の顔」として歩みを進めていた。

 しかし、その順調だった動きは止まる。左手の血行障害。数年前から悩まされていた持病は、最高峰の舞台で戦うには限界に近づいていた。手術の決断、そしてリハビリ。「完全に元に戻ることは、もうないはずです」。過去との決別。それでも必死に前を向き、1軍の舞台に戻ってきた。

 災い転じ、以前とは軌道が変わったスライダーが大きなアクセントとなり、シーズン終盤には直球も最速140キロ台の後半まで復調。9月28日には2年ぶりの白星も手にした。

「良くなるのが遅過ぎます。ただ、手の状態が良くなってきて、自分でも『このレベルでも大丈夫』というラインが上がってきたのは大きいと思います」。レジェンド・岩瀬仁紀がユニフォームを脱ぎ、岡田の存在感はブルペンの中で大きさを増す。来季に持ち越しとなった完全復活。その道筋は見えている。


写真=BBM
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