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阪神・能見篤史 左腕リリーバーとして立場を確立/区切りのシーズンを終えて

 

来季40歳を迎える能見だが、その投球に衰えを見せない


 ベテラン左腕にとって、大きな転換点となるシーズンだった。能見篤史がリリーフという新天地で新たなる可能性を見出した。低迷したチームに「力になれず悔しい」といった左腕。40歳の区切りになる来シーズンは、立ち位置をさらに固める年になりそうだ。

 開幕から先発ローテーション入りしたが、わずか3試合に登板しただけで、リリーフに転向することになった。以前にも能見の中継ぎプランはあったが実現しなかった経緯がある。今季はその新たなポジションで結果を残した。

 6月28日DeNA戦(横浜)では3番手で通算100勝目を挙げた。阪神の生え抜き投手では山本和行以来、33年ぶりの大台だった。8回から登板して1イニングを無失点に抑えたこの試合では、四番・筒香を内角ストレートで見逃し三振にとった場面に能見らしさが表れた。

 8月16日の広島戦(京セラドーム)ではプロ初セーブ。39歳2カ月での記録は、プロ野球史上最年長だった。左腕からの角度のついたボールに、円熟した駆け引きは、ショートイニングでは十分通用することを証明したのだ。

 今季42試合にリリーフした防御率0.86の好成績。先発からの転向は大成功と言え、ベンチの信頼を得ることができた。能見は感情を表に出さないタイプだが「来年は気持ちを表に出すかもしれない」という。勝利の方程式の再構築に、不惑の左腕は欠かせない。
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