異国の地で節目のプロ10年目に挑む。12月25日からオーストラリアのウインター・リーグに志願して参加中なのが杉谷拳士だ。「自分を変えなきゃいけない。1人で乗り込んで、野球の実戦をやらせてもらいます」。自らオフ期間に実戦調整できる環境を調査し、参加を球団に直訴。熱意は伝わり、新婚ホヤホヤながら単身で乗り込んでいる。

　2017年シーズンも殻を破れなかった。両ふくらはぎを痛めて戦線離脱するなど、一軍出場は35試合。二塁のレギュラー奪取を目標に掲げながら厳しい現実にはね返された。リハビリに時間を取られたこともあり、二軍戦でも実戦出場が少なかった。だからこそ実戦出場の機会を求めて海外のウインター・リーグの情報を収集。野球勘を養う環境で鍛え、18年シーズンへ備えることになった。

　改造中の打撃フォームの方向性も実戦の中で確認するつもりだ。「すごく手応えがあるので、それを試合の中で証明していきたい」。練習の中では打撃への自信を深めているが、試合で試さないことには確信に変えられない。勝負の年と位置づける18年へ向けて確固たる打撃スタイルを完成させるのも目的の１つだ。

　年齢的にもチーム内では中堅の域に入ってきた。「持ち味のスピードを、もう１度前面に出してアピールしたい」。次々と台頭する若手に負けていられない。不慣れな環境で技術的にも精神的にも大きく生まれ変わって、今度こそ殻を破ってみせる。

写真＝BBM