奪三振数以外の数字にも意欲を見せる
きれいな回転の球がミットに収まるたび、乾いたミットの音が心地良く響いた。剛速球は、明らかに力強さを増していた。久米島キャンプ3日目の2月3日。
則本昂大は、すべてセットポジションから77球を投じた。受けた
嶋基宏は、輝かしい未来を予感した。「腕がムチのようにしなって、遅れて出てくるようになった。球威がヤバイですよ」と絶賛した。
新たな挑戦の成果が、早くも出始めている。「田中さんに言われて、セット(ポジション)でスタンスを肩幅ぐらいに狭くしたんです」。
ヤンキース・
田中将大の助言で、セットポジションでのスタンス幅を靴の横幅で1歩から2歩狭くしたという。
1月中旬から取り組み始めたばかりだが、手応えは十分だ。「余計な動きがなくなって始動がしやすくなる。ブレがなくなった」とうなずく。上半身から無駄な力みも抜けたという。
悔しさは忘れていない。昨季は10勝11敗と黒星が先行し、防御率は自己最悪の3.69に終わった。「本当に悔しかったんで」と昨年12月からほぼ休みなく、意欲的に汗を流してきた。「プロ生活の中で一番、体を仕上げてきたつもり」と言い切る。
目標は高い。これまで獲得したタイトルは最多奪三振(5年連続)のみだが「各タイトルがあるので、そのタイトル争いに絡めるような数字を残したい」と、勝利、防御率、勝率など主要タイトルの総ナメを誓った。絶対的な存在を目指して、その歩みは止まらない。
写真=BBM