巡ってきたチャンスを逃さない。4年目の桜井俊貴が6月6日の楽天戦(楽天生命パーク)で、1年目の2016年3月30日のプロデビュー戦だった
DeNA戦(横浜)以来、実に1163日の先発登板。くすぶり続けた男が、4年間のうっ憤を晴らすかのように腕を振った。
このとき、チームは
菅野智之、T.
ヤングマンらが先発ローテーションを外れる厳しい台所事情となっており、中継ぎで好投を続けていた桜井に白羽の矢が立てられた。「(1年目の)悔しさを晴らすチャンスがやっと来た」。遠かった2度目の先発マウンドで7回途中3安打1失点、8奪三振と快投を披露し、先発投手として初勝利を手にした。
ドラフト1位で入団した16年、オープン戦で結果を出して開幕ローテの座をつかんだが、前述のデビュー戦で右ヒジを故障。とんとん拍子で進んでいた“出世街道”から外れ、その後は中継ぎに転向した。満足な結果を残せず4年間で背番号も2度変わっている。それでも、真面目な性格の右腕は「中継ぎで結果を残せば、(先発の)チャンスはあるかなとずっと思いながら投げていた」とあきらめなかった。
毎日ブルペンで肩を作り、コンディションの維持が難しい中継ぎを経験したことで「肩ができるのが早くなった。先発で球数を投げなきゃいけないので、どれだけ投げずに肩を作るかは、中継ぎで養われた力です」と、自身の成長も口にする。交流戦期間中は3度の先発で2勝。6月20日の
オリックス戦(東京ドーム)でも勝ち星こそつかなかったが、6回2失点と先発の責任を果たし、その後のチームの勝利に貢献している。中継ぎでも、先発でも、一軍の戦力であることを証明。いつでもマウンドに向かう準備はできている。
写真=BBM