週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

ヤクルト・村上宗隆 若き四番、意地の一振り/序盤戦ベストゲーム

 

打った瞬間本塁打を確信し、ベンチにガッツポーズする村上


 若き四番打者が、豪快な一撃で決着をつけた。7月2日の広島戦(神宮)。5対5と同点で迎えた9回無死満塁から、村上宗隆が登場。左中間席へ放った今季3号は、自身初となるサヨナラ満塁本塁打となった。

 「なんとか1点を取ろうと思って打席に入りました。ヤクルトはあきらめないことが持ち味なので、誰一人あきらめず、なんとか1点ずつ返していこうという気持ちで頑張りました」

 マウンド上には広島の新助っ人右腕、スコット。2球で追い込まれた後の3球目だった。外角に来た151キロのツーシームを逆らわずに、左方向へ。「いい感じでとらえられたので、行ったかなと思いました」と一塁ベンチに向かって右手でバットを掲げ、ゆっくりと走りだした。

 20歳5カ月でのサヨナラ満弾は、巨人王貞治が1960年9月21日の阪神戦(延長10回)で記録した20歳4カ月に次ぐ2番目の年少記録。昨季、高卒2年目で36本塁打、96打点を記録した村上が、また歴史に新たな1ページを刻んだ。

 悔しさがバットに乗り移った。6月19日の開幕戦(対中日、神宮)では、延長10回二死の同じ満塁機で空振り三振に終わり、チームは7対9で敗戦。「借りを返せたのかなと思います」。四番打者として果たせなかった責任を背負い、懸命にバットを振ってきた結果が重要な場面で最高の形となって表れた。

 二軍監督時代から村上を見守ってきた高津臣吾監督も「追い込まれても、すごく落ち着いて見えました。真の四番になるにはいろいろなことを兼ね備えていかないと。少しずつ相手にプレッシャーのかかるスイングができていると思う」と目を細めた。好調の燕軍団の中心には、20歳の若武者がどっしりと座っている。

写真=BBM
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング