8月10日に一軍再昇格を果たしたルーキーの郡司裕也。精悍な顔は、以前よりもこんがりと日焼けしていた。ただ、変わっていたのは表情だけではない。勝てる捕手へと成長して戻ってきた。
10日は代打での出場だったが、翌11日の
広島戦でスタメンマスクをかぶると、慶大の先輩・福谷を好リードし、バットのほうでも8回にプロ初タイムリーを放った。19日の
ヤクルト戦では再び福谷とのコンビで、球団史で初となる慶大先発バッテリーでの神宮初勝利を飾った。
スタメンマスクをかぶればチームは6連勝と負けなかった。残念ながら25日の
阪神戦で神話は止まったが、チームの浮上に貢献した。「投手の調子が非常に良いので、たまたまそういう結果になっているだけだと思います」と謙そんしたが、少なからず心当たりもある。二軍で過ごした日々だった。
「二軍に行ったことはめちゃめちゃ大きかった」と認める。武山二軍バッテリーコーチと課題を持って取り組み、自分を見つめ直すことができた。「配球のことから、スローイングのことから、細かく教えていただいた」と振り返る。例えば、一軍ではできなかった遊び心を持ってリードしてみたり、相手バッターを観察することに注力したりもした。
与田監督は「郡司の良さというのはストライクが取れなくても、またそれをしつこく続けてみる。ボールを消さないというか、偏らない。そのへんはいいと思います」と分析した。
現在は木下拓との併用での起用。負傷で離脱していた強打の
アリエル・マルティネスもやがて一軍に戻ってくる。それでも郡司は『打てる捕手』から、理想像に掲げていた『勝てる捕手』へと進化を遂げつつある。
写真=BBM