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ヤクルト・西田明央 “伏兵”の力を見せてやれ/チームを支える扇の要

 

チャンスをものにしたい西田


 巡ってきたチャンスをものにし、必死にその座を守ってきた。10年目の西田明央は開幕二軍スタートながら、9月3日時点で捕手陣の中で最多の38試合に出場。「捕手をやると、自分のことよりチームが勝つことが一番という思いが強くなりますね」と、勝利のためにマスクをかぶり続けている。

 チームにとっては危機的状況だった。開幕戦が行われた6月19日に、正捕手の中村悠平が上半身のコンディション不良を訴え、翌20日に出場選手登録を抹消された。さらに、楽天から新加入の嶋基宏も、右足舟状骨骨折のため、7月上旬に離脱。首脳陣も頭を悩ませる事態だった。

 だが、そこで奮闘したのが、6月下旬に今季初昇格を果たした西田だった。「チャンスだと思いますし、今年はクライマックス(シリーズ)もないので、優勝しないと。勝って少しでも上位でいられるように精いっぱいやっています」と意気込み、扇の要に座り続けた。

 そんな“伏兵”だった男が、偉業達成に大きく貢献した。8月15日のDeNA戦(横浜)で、小川泰弘が史上82人目、通算93度目のノーヒットノーランを達成。歓喜の瞬間、マウンド上の右腕と抱き合ったのが西田だった。リードするうえで心がけているのは「相手の弱点とかもありますけど、一番は投手が投げやすいように考えながら、本来の投球スタイルを引き出す」こと。同戦でも、小川の「強気で攻める」スタイルを最大限引き出した。

 8月20日には中村が一軍に昇格したが、高津臣吾監督は「無理はさせたくない」と今後も西田と併用していく方針。チーム思いの男だけに、出場機会が増えたこのチャンスをものにし、勝利に貢献していきたい。

写真=BBM
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