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西武・松本航 8、9月に安定感抜群の投球を見せられた理由とは/2年目の明暗

 

2年目の今季、殻を破り切れなかった松本


 期待を裏切るピッチングだった。10月25日のソフトバンク戦(PayPayドーム)。先発した西武松本航は初回、味方のミスもあり2失点すると2回、3安打3四球で4点を失う。1回1/3、6安打、3四球、6失点でプロ最短KOを食らい、チームを勝利に導けず、CS進出を争う2位・ロッテとのゲーム差は3に開いてしまった。「立ち上がりからランナーを出してしまい、失点を許してしまいました。味方が1点を返してくれた直後もまた点を取られてしまい、本当にチームに申し訳ない気持ちでいっぱいです」とうなだれた。

 大卒からドラフト1位で入団した昨季、登板した16試合すべてで先発し、7勝4敗、防御率4.54と、ルーキーイヤーとしては及第点と言える成績を残した松本航。そして迎えた今季、「この経験を来季にどう活かすか、期待したい」と辻発彦監督からも先発ローテーションの柱の一角として飛躍を熱望された2年目だったが、10月27日現在、18試合に先発し、5勝6敗、防御率4.58。数字的には、決して期待に応えられているとは言い難い。特に、シーズン序盤は「自分のピッチングができず、もどかしかった」と、自ら猛省するほど精彩を欠き、7月19日には登録を抹消されるに至ったほどだ。

 しかし、そのファームでの10日間こそ、非常に大きな収穫となった。“試合のため”ではなく、ひたすら自分自身とだけ向き合い、改善に没頭することで、「ボールの良し悪しだけではなく、動きの良し悪しを体に植え付けることができた」のだ。

 7月29日に一軍昇格を果たすと、復帰2戦目から投球内容が一変。8月の4試合で防御率1.59と、安定感が飛躍的に増した。残念ながら、打線の援護に恵まれず、勝ち星こそつかなかったが、「この動きができれば良い球がいく」という体と球質との感覚が身についていたことで、決して焦ることはなかったという。むしろ、投げるたびに自信や手応えは積み重なっていき、9月になると、4試合3勝0敗、防御率2.88と、内容と結果が噛み合う、最高の状態に持っていくことができた。

 しかし、10月は4試合1勝3敗、防御率7.71と暗転。昨季の反省点、今年のテーマとして筆頭に掲げた「球数を減らす。イニング数を増やす」がクリアできていないのは、本人も悔しいはず。来季へいいきっかけをつかめるよう、残りの登板で集大成を見せたい。

写真=BBM
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