早くも来季は勝利の方程式入りに期待がかかる津森
手応えも得た一方で課題も見えたルーキーイヤーの経験を、
津森宥紀が2年目の飛躍につなげる。6月24日の
西武戦(メットライフ)。2点ビハインドの5回に登板すると、先頭の
山川穂高に死球を与えながらも
外崎修汰、
中村剛也、
栗山巧と立て続けに強打者を打ち取った。直後に
今宮健太が逆転3ラン。今年の新人で12球団一番乗りとなる白星を手にした。さらに7月2日の
日本ハム戦(札幌ドーム)でプロ初ホールドをマークすると、翌3日も2戦連続でホールドを記録。中継ぎの一角として貢献したシーズン前半はプロの舞台で戦っていく手応えも手にしたが、疲れの見え始めた夏場以降は精彩を欠き、故障離脱していた主力救援陣の復帰もあり後半は二軍生活が続いた。
新人ながらその度胸満点の投球には開幕前から期待が高かった。3月のオープン戦では6試合に登板し計6イニングを無失点。コロナ禍で開幕が遅れるという難しい状況ながら、6月の練習試合でも好アピールを続けて開幕一軍入りをつかんだ。
工藤公康監督が「打者に向かって勝負できる」と話すように、特に首脳陣が高評価するのはメンタルの強さだ。先発の危険球退場直後という極めて厳しい状況で迎えたプロ初登板(6月21日の
ロッテ戦、PayPayドーム)で、いきなり
井上晴哉にグランドスラムを浴びたが、「自分が1人目ってことですね。いいっすね」。プロ初登板の第1打者に満塁弾を浴びるのが史上初の事実と知ると、ケロリと笑う強いハートがある。
12球団屈指の救援陣にライバルはひしめくが、チームにいないタイプの右のサイドということに加えて、守護神の
森唯斗にも匹敵するそのメンタルの強さは大きな武器。肝っ玉右腕が、来季こそ勝利の方程式への仲間入りを果たす。
写真=BBM