2021年の契約に関しては球団が延長オプションを保有する。フルシーズンでプレーする姿を見たい助っ人である
いったい来季はどれ程の数字を残すだろうか。
タイラー・オースティンは来日1年目の開幕前から“本物”との評価を集めた希有な存在だった。オープン戦で圧倒的な存在感を見せた打棒はシーズンに入っても陰ることがない。ケガが続いて出場試合数が伸びなかったため打撃3部門の上位に名前はないが、今季の成績をプレータイムに照らし合わせると驚異の数字が浮かび上がる。
まず7月に右手人さし指を痛めて2週間の離脱。復帰してわずか1週間後には、甲子園球場での右翼守備でハッスルプレーの代償としてフェンスに激突し、脳しんとうとむち打ちと診断された。打撃練習が再開できるまでに時間を要し、一軍再合流は約1カ月半後の9月12日までずれ込んだ。この復帰戦(
中日戦、横浜)の第1打席で5号本塁打を放っているが、その後は21打席無安打。さすがの実力者もファームでの実戦不足と、ブランクの影響は隠せなかった。
10月に入ると一気に本領発揮した。4日の中日戦(横浜)で1試合3本塁打を記録するなど、月間2ケタアーチに到達。打率も3割台後半を維持し、佐野が故障で先発を外れた試合はすべて四番を任された。今季残り2試合となった11月6日までで見ると、オースティンは出場65試合で20本塁打、56打点。これは例年のシーズン143試合に換算すれば44本塁打、123打点のペース。タイトル獲得はほぼ間違いない数字だ。
現役時代、監督を通じて、多くの打者と接してきた
ラミレス監督が「今まで見てきた外国人選手の中で一番のインパクト」と語った逸材。体が万全なら、来季には数々の本塁打記録に肉薄する可能性すら感じさせる。
写真=BBM