世界記録となる13試合連続盗塁もマークした周東
育成からの「シンデレラストーリー」を足でつかんだ。11月9日の
西武とのレギュラーシーズン最終戦(PayPayドーム)。
周東佑京は四球で出塁すると、迷うことなく二盗を決めた。区切りの50盗塁。「あと一つなので。49(盗塁)で終わりたくなかった。(50盗塁は)もちろん意識していた。何としても決めたかった」。育成ドラフト出身初の盗塁王を獲得し、今オフの契約更改でも大幅アップが予想される。
自らの足とともに年俸も急上昇カーブを描いている。2018年に育成ドラフト2位で年俸400万円(金額は推定。以下同)で入団。19年に支配下選手登録を勝ち取ると、600万円に上がった。そのシーズンでは主に代走として、チームトップの25盗塁。3倍超の2000万円に跳ね上がった。侍ジャパンにも抜てきされ、「プレミア12」制覇に貢献。それでも「盗塁王はプロに入る前からの目標。レギュラーにならないと獲れない。内野手としてレギュラーを獲りにいく」と誓った。
迎えた20年シーズン。開幕当初はベンチスタートが続き、7月終了時点でわずか2盗塁とつまずいた。「育成だったころの気持ちはずっと忘れないように。やったらやった分だけ結果につながるんだなと」。育成から球界を代表する選手に成長した
千賀滉大や
甲斐拓也の姿も追いかけ、徐々に盗塁も増えていった。チームがV奪還に向けて猛スパートをかけた10月はほぼ一番に固定。16日の
楽天戦(PayPayドーム)から13試合連続盗塁の世界記録も樹立し、アクセル全開でチームを引っ張った。
昨年は102試合の出場で114打席だったが、今年は103試合で346打席と大幅増。打率も.270と課題の打撃でも成長を見せた。再び3倍を超える大幅増は必至だ。
写真=湯浅芳昭