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楽天・岸孝之 兄貴分の引退試合で示した存在感/2020年のベストゲーム

 

最後に今季一番の投球を見せた


 4対2で勝った11月6日の西武戦(楽天生命パーク)。35歳の右腕が、圧巻の投球を見せた。古巣でもある強力打線を6安打に封じ、今季2度目の完投で、無傷の7勝目。負けなしで今季を締めくくった。

 ベテランらしい投球術を見せた。直球は140キロ代前半ながら、いつもどおりキレがあった。チェンジアップと100キロ台のカーブで緩急をつけ、的を絞らせない。丁寧にコーナーに投げ分けて11奪三振。最後の打者を二ゴロに仕留めると、この日が引退試合だった渡辺直とガッチリ握手を交わした。

「(渡辺)直人さんが守るまで、守りに就くまで投げようと思っていた。それが9回って聞いていたので、そこまで投げようと最初から思って、試合に臨みました」と充実感をにじませた。

 岸は西武時代も含めると、合計7シーズンも渡辺直と同じチームでプレーした。実は試合前の練習から「完投」を宣言していた。三木監督は「岸は練習中に、直人さんが守るまでは絶対に投げると言っていた。見事に投げ切るところもすごい」と絶賛した。一番・指名打者で先発した渡辺直は4打数2安打の活躍。兄貴分としても尊敬する先輩の引退試合に、華を添えた。

 今季は11試合に登板して7勝0敗、防御率3.21。負けなしでシーズンを終えたのは、プロ14年目で初めてのことだ。今季は腰痛の影響で出遅れた上、7月中旬から約2カ月はコンディション不良で離脱した。それでも4位に沈んだチームで、気を吐いた。「負けなかったというのは、すごく自分の中では評価できる」と岸。ファンの多くが溜飲を下げた渡辺直の引退試合で、右腕の存在が光っていた。

写真=BBM
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