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広島・森下暢仁投手 完投して自ら勝ち越し打、セ全球団制覇/2020年のベストゲーム

 


 悲願の「新人王」獲得へ、絶対に負けられない試合でルーキー・森下暢仁が力を存分に発揮した。10月24日のDeNA戦(横浜)で9回4安打1失点(自責点0)の完投で9勝目。タイトルをグッと引き寄せた。4度の対戦で未勝利だった相手に初勝利を挙げ、球団の新人では1997年の黒田博樹以来、23年ぶりのセ・リーグ5球団から制覇を達成した。「何が何でも勝つつもりでした。きょうにかけてたという言い方はおかしいかもしれないですけど、とにかく勝つという気持ちでした」。

 新人王争いでデッドヒートを繰り広げていた巨人・戸郷と8勝で並んで迎えた一戦。残る登板も1、2試合を残すだけのプレッシャーのかかる試合で、ギア全開で135球を投げ切り、見事プロ2度目の完投勝利。目標の「新人王」へ大きな前進をした試合となった。

 バックのお膳立てにバットでも応えた。1対1の同点で迎えた8回、二死から左前打で出塁した菊池涼が相手のスキを突き、二盗に成功。チャンスの場面で打席には森下。外角低め、地面すれすれの変化球に食らいつき、打球は逆方向へ。一、二塁間を抜け、菊池涼が生還。自らのバットで決勝点をもぎ取った。「本当にうれしかった」。一塁ベースを回ると、両手を空に突き上げて喜んだ。

 絶対に落とせない試合で、新人離れした投球で勝利をもぎ取り、翌週11月1日の中日戦(ナゴヤドーム)でも8回無失点の力投。目標の1つでもあった2ケタ勝利を手にした。10、11月は快投連発で、5試合に先発し4勝0敗、防御率0.24の驚異的な数字を残し、月間MVPを獲得。通算防御率は中日・大野雄に次ぐ1.91を記録した。即戦力ルーキーが1年目で大仕事をやってのけた。

写真=BBM
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