沖縄の青空に石垣雅海がこれまでと違う放物線を描いていた。第1クールのフリー打撃。マウンドに上がった岡田と藤嶋から反対方向に、それぞれ一発ずつ柵越えを放った。全体を通じても右方向への飛距離は格段に伸びている。
「逆方向にいっているのは確かに自分の中でパワーが付いた証拠。でもポイントが近すぎてライトにいっている感じもある。そこをもうちょっとポイントを前にしてライトやセンターに打てたらいいですね」
目指すレベルが高いからこそ満足はない。コメントも頼もしい限りだ。長打力アップが今季のテーマだ。師匠は
楽天の浅村。1月の愛媛自主トレで弟子入りし、質問攻めにして帰ってきた。もらったアドバイスは主に2つ。
「最短でバットを出そうとし過ぎて右肩が出てしまうので、もっとフライを打つイメージで下からバットをボールに入れてあげればいいと言われました」
もう一点は「打つときに突っ込んだり、逆に後ろに残り過ぎたりするので、左脚を着地したときに体重の比率が5:5になるようにと。いつでも打てる状態をつくることが大事なんです」。浅村から教わった技術を表現するための体もつくり上げた。
昨年11月からわずか2カ月で7キロ増。「オフはしっかり食事をとって、しっかり練習しました。いきなり増やしちゃった感はありますけど…」。見た目からしてごつくなった。それは打球にも如実に出ている。「打った感覚もすごくいいです」。
今は毎日ヘトヘトになるまで振っている。「チームは『長打力不足』と取り上げられることが多い。なのでそこを自分が頑張りたい」。昨季初ホームランを放った大砲候補が一気にブレークを目指す。
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