巨人とのオープン戦(東京ドーム)が行われた3月19日。途中出場した藤岡裕大は左翼手の前に落ちそうな後方への飛球に、猛スピードで頭から突っ込んだ。魂がこもった超ファインプレーだ。
「開幕だけじゃなく、一年間とおしてレギュラーとしてやっていきたいっていう思いがあるので……」
プロ入り1年目から遊撃手のレギュラーとして活躍してきたが、28歳となるプロ4年目の今季も、2月の石垣島キャンプから連日、グラウンドで動き回っていた。
朝8時を過ぎると、メーン球場には新キャプテンに就任した
中村奨吾と二人の姿があった。ほかの選手たちが芝生の上でアップをしている間に、二遊間を組むコンビで、
森脇浩司野手総合兼内野守備コーチのノックを受けた。その姿は、まるで若手のようだった。
昨季は106試合に出場し、打率.229という成績は決して、胸を張れるものではなかった。ドラフトでは3位で国学院大から好守の
小川龍成を指名し、オフには現役メジャー・リーガーの
エチェバリアを獲得。昨秋、右ヒジ手術を受けた
平沢大河も元気に復帰している。
新外国人の助っ人は来日したばかりで、一軍合流はまだ先だが、遊撃争いはシーズンを通じて繰り広げられることになる。そんな現実も、藤岡は「毎年一緒のような感じだと思います」と真っ正面から受け止める。
安田尚憲、
藤原恭大、
山口航輝ら、若返りが加速していく中で、中村奨とともにチームを引っ張っていく立場となった。気迫のこもったプレーは、自身の存在感を示すと同時に、チームにも勇気を与えていく。
写真=BBM